人気の投稿とページ

定積分 No.16

計算積分

定積分 No.16

$$
\int_0^1 dx \frac{\ln (x+1)}{x^2 + 1} = \frac{\pi}{8}\ln 2
$$

使用するトリック

まず被積分関数が \frac{1}{x^2 + 1} を含んでいるので次の置換積分によって分母を約せる.

$$
x = \tan\theta
$$

すると対数関数に三角関数が入り込んだ被積分関数となるが,積分領域が有限であることと三角関数を含んでいることから,積分変数のフリッピングを試行してみる.

導出

被積分関数を x = \tan\theta で置換積分して整理すると次を得る.

$$
I := \int_0^1 dx \frac{\ln (x+1)}{x^2 + 1} = \int_0^{\frac{\pi}{4}} d\theta \ln (\tan\theta + 1)
$$

次に積分変数のフリッピングを行って,三角関数の加法定理を用いて整理すれば次を得る.

$$
I = \int_0^{\frac{\pi}{4}} d\theta \ln\left[ \tan\left(\frac{\pi}{4} – \theta\right) + 1\right] = \int_0^{\frac{\pi}{4}} d\theta \ln\left[ \frac{1 – \tan\theta}{1 + \tan\theta} + 1\right] = \frac{\pi}{4}\ln 2 – I
$$

よって I について整理すれば所望の結果を得る.

感想戦

今回の定積分はかつて 1844 年に Joseph Alfred Serret (1819-1885) により解かれたことから,Serre の積分とよばれる定積分である.

Serre の積分は次のように一般化できる.

$$
I_a := \int_0^a dx \frac{\ln (x+a)}{x^2 + a^2} = \frac{\pi}{8a}\ln(2a^2) ~~ (a>0)
$$

導出は I_1 に対して,x=\frac{t}{a} なる置換積分を行って整理する.それは次のとおり.

$$
I_1 = \int_0^a \frac{dt}{a} \frac{\ln\left(\frac{t}{a} + 1\right)}{\frac{t^2}{a^2} + 1} = aI_a – \frac{\pi}{4}\ln a
$$

これから I_a について整理すればよい.

参考

2021-09-21計算積分