定積分 No.11
定積分 No.11
$$
\int_{\sqrt{2}}^{\infty} dx \frac{1}{x + x^{\sqrt{2}}} = (1+\sqrt{2}) \ln \left[ 1 + 2^{\frac{1}{2}(1 – \sqrt{2})} \right]
$$
使用するトリック
次式を対数関数の微分ということで対数微分といい,これを用いる.
$$
d\ln f(x) = \frac{f^{\prime}(x)}{f(x)}dx
$$
導出
もっと一般に次の定積分を考える.
$$
I := \int_a^{\infty} dx \frac{1}{x + x^m} ~~ (m\neq 1)
$$
そして被積分関数を次のように変形して と置く.
$$
\frac{1}{x + x^m} = \frac{x^{-m}}{x^{1-m} + 1} =: \frac{x^{-m}}{f(x)}
$$
すると被積分関数は更に次のように書き直せる.
$$
\frac{1}{x + x^m} = \frac{1}{1-m}\frac{f^{\prime}(x)}{f(x)}
$$
よって一般化した定積分は次の様の書ける.
$$
I = \frac{1}{1-m} \int_a^{\infty} dx \frac{f^{\prime}(x)}{f(x)} = \frac{1}{1-m} \int_a^{\infty} d\ln f(x) = \frac{1}{m-1}\ln(1+a^{1-m})
$$
故に特に をとると求めるべき次の定積分値を得る.
$$
\int_{\sqrt{2}}^{\infty} dx \frac{1}{x + x^{\sqrt{2}}} = (1+\sqrt{2}) \ln\left[1 + 2^{\frac{1}{2}(1 – \sqrt{2})}\right]
$$
感想戦
対数微分はいろいろなところで表れる.良さは を次元解析をしてわかるように,任意の関数 が担っているスケールが消えている点である.単純な微分 であると, の変化に対する の変化量というように, 二つの異なる世界での変化のスケールは必ずしも同じではなく,それを合わせたい局面で不都合が生じる.対数微分であれば残るのは の次元のみであるから, でのスケールを基準とした相対的な考察ができる.